田辺市に鎮座する熊野本宮大社。延喜式牟婁郡熊野坐神社の比定社で明神大社。御祭神は家津御子大神を主祭神とし、上中下各四社に多くの神を祀る。
かつては熊野川の中州にあった大斎原に鎮座していた。
明治22年6月の大水害で上四社を除き流出し、上四社が現在地に遷座する。平成23年9月にも熊野川は大氾濫した。新宮から大斎原までの途中でもまだまだその傷跡が残っていた。
大斎原に入る。
熊野は能「巻絹」の舞台という
元鎮座の地には現在石祠が二社並んで建つのみ。左に流出した中下各四社を、右に境内摂末社を祀るという。
中四社には
第五殿禅児宮、御祭神は忍穂耳命
第六殿聖宮、御祭神は瓊々杵尊命
第七殿児宮、御祭神は彦穂々出見尊
第八殿子守宮、御祭神は鵜葺屋葺不合命
下四社には
第九殿一万宮十万宮、御祭神は軻遇突智命
第十殿米持金剛、御祭神は埴山姫命
第十一殿飛行夜叉、御祭神は弥都波能売命
第十二殿勧請十五所、御祭神は稚産霊命
摂末社には
摂社底海神社、御祭神は住吉三神。延喜式牟婁郡海神社の論社
摂社御戸開神社、御祭神は手力男神。延喜式牟婁郡天手力男神社の論社
摂社滝姫神社、御祭神は瀬織姫命
摂社市杵島神社、御祭神は市杵島姫命
摂社八咫烏社、御祭神は武角見命
摂社高倉下神社(地主社)、御祭神は高倉下命、穂屋姫命
摂社大國主神社、御祭神は大國主命
摂社須勢理姫神社、御祭神は須勢理姫命
末社音無天神社、御祭神は少彦名命
末社素戔嗚社、御祭神は素戔嗚尊
末社天神社、御祭神は菅丞相
末社水戸社、御祭神は罔象女
が祀られるという
大斎原に立つ大鳥居を正面に拝み、大斎原を出て本宮神社へ向かう。
境内入口の一の鳥居
参道沿いには奉納された大幟がずらりと並ぶ。
入口に境内社功霊社、地元出身者の英霊を祀る。
階段途中に祓戸社
階段を上ると、右手に授与所、正面に神門がある。神門は工事中であった。
神門左の拝殿
神門の注連縄、両端の上にも初めて見る縄細工が飾られている。
上四社
第一殿西御前、御祭神は熊野牟須美大神(伊邪那美大神)
第二殿中御前、御祭神は速玉之男神(伊邪那岐大神)、第一殿と第二殿は結宮の左右に祀られる
第三殿證証殿(本宮)、御祭神は家津美御子大神(素戔嗚尊)
第四殿東御前(若宮)、御祭神は天照大神
上四社の右に境内社満山社、御祭神は祓いの神、結ひの神。八百万の神を祀るといい、大斎原にあった八百万神社であろうか。
社前の和歌山県世界遺産センターに入る。
かつての大斎原の模型が飾られている。右から下四社、中四社、若宮、本宮、?、結宮が並ぶ。これで見ると上流の方が流出してしまったようだ。本宮と結宮の間に一社多いのは「熊野三山絵図」に残る姿である。
熊野本宮大社
和歌山県田辺市本宮町本宮1110