今治市大三島に鎮座する大山祇神社。御祭神は大山積神。延喜式越智郡の比定社で明神大社、伊予国一宮。全国の大山祇神社、三嶋神社の総本社。
今日は帰省ラッシュに加え、駐車場の藤公園で藤まつりが開催されていて、意図せず市役所大三島支所に導かれたため、一の鳥居から参拝を始めることになった。
鳥居の前は宮浦港で、しまなみ海道ができるまでは船でここに上陸して参拝していた。港の南に御串山の岬の方に摂社阿奈波神社が建つので、先に参拝することにする。
途中海の岩場に鶴姫像が島を見つめている。鶴姫は大山祇神社社家の大祝家の姫君で、戦国時代に大内氏侵攻に対して水軍を率いて戦い、戦いで亡くなった恋人の後を追って海に身投げしたという伝説が残る。
右手に大三島最高峰の鷲ヶ頭山、古来より神の山として崇められてきた。
海沿いの先に社殿が見えてきたが、何かがおかしい。
西向きの境内に裏から入ると、木材や瓦が積まれている。鳥居や燈籠も崩壊している。後で聞いたところによると、昨年秋の集中豪雨で御串山の斜面が崩れ、社殿の一部が潰れたという。そういえば、参道入口は通行止めのようになっていたが、車両で入るなということかと思っていた。
拝殿(拝所?)はなくなっているが、本殿はかろうじて助かったようで、本殿に参る。御祭神は磐長姫命
一の鳥居から表参道を歩く。
社叢の入口に到着。「大日本総鎮守大山祇神社」の社号標と二の鳥居。社号標は伊藤博文の揮毫、鳥居扁額は藤原佐理揮毫の写し。
石橋と「延喜式内社 伊豫国一宮 大山祇神社」の社号標の向こう総門が見えてくる。
総門は平成22年に室町時代の古図をもとに再建された門で
「日本総鎮守 大山積大明神」の扁額が掛かっている。
斎田、御田植祭で早乙女による田植え、抜穂祭で抜穂乙女による収穫が行われ、神事に用いられる稲。
御桟敷殿、御田植祭と抜穂祭で神輿3基が渡御する。
昭和60年に造営された絵馬殿
神功皇后の絵馬が掛かる。
末社馬神社と神馬舎、天斑駒神を祀る。
斎炊殿、神馬舎の裏に建つ。
能因法師雨乞の楠。樹齢3000年と伝わるが現在は枯死している。茂って見えるのは回りの木
楠の奥に末社宇迦神社が建ち、宇賀神を祀る。
後ろの神池の中に社殿が建つ。
末社十七神社、最右の諸山積神社と十六社神社が一体となっている。
乎知命御手植の楠。樹齢2600年と伝わる御祭神の子孫による植樹
楠の右手に祓殿神社、伊豫國総社、葛城神社の末社合祭殿。
大禍津日神、大直日神、伊豆能売神、速佐須良姫神、一言主神を祀る。
伊藤博文が参拝記念に植樹した楠。
階段の先に神門と廻廊が見えてきた。
随神は目を見開き、神域への侵入を見張っている。
神門を入り、左の下津社廻廊に隼人の舞の像。
隣には明暦三年の銘がある鉄張太刀櫃。太刀櫃とは数々の鎧、刀のある国宝の島らしい。
拝殿に参る。
本殿の右に摂社上津社、上津姫と雷神と祀る。
本殿左に摂社下津社、下津姫と高龗神を祀る。手前には水波能売神を祀る神水の井戸
下津社の廻廊を出ると、神輿倉。6基の神輿を収納する。
末社八重垣神社(左)と末社酒殿(右)。素戔嗚命、大山積神をそれぞれ祀る。
末社御鉾神社、御鉾大神を祀る。
少し西の山手に行くと、奥の院がある。参道入口に「生樹の御門」と呼ばれる樹齢3000年の楠。
根元に空洞がなっており、ここを通って奥の院に参詣する。長寿の象徴
奥の院は神仏習合時の神宮寺。木造阿弥陀三尊像を祀る。
境外末社天神社、造化三神を主祭神とし、菅原道真公を相殿に祀る。
下津社の御垣外に末社4社が並ぶ。石神社、稲荷神社(稲荷神)、地神社(地主神)、院内荒神社(竈神)
本殿の裏に姫子邑神社が建つ、木花開耶姫命、火々出見命、火須勢理命を祀る。
境内には楠の巨木が多く、38本が国天然記念物に指定されている。
河野通有甲掛の楠。元寇出兵時に戦勝祈願したというが、現在は枯死している。
宝篋印塔、中央の1基は一遍上人の来島を記念して建立された
末社祖霊社、大国主命と信徒祖霊を祀る。
庭が美しい。
祖霊社の左に五穀神社(左)と八坂神社(右)、宇賀御魂神、素戔嗚命と少彦名命をそれぞれ祀る。
宝物館紫陽殿
宝物館国宝館、宝物の中でも武家が奉納した甲冑や刀剣を展示している。
大三島海事博物館、昭和天皇のご採集船、葉山丸を展示している。
藤公園の藤は満開でした。
藤公園から川を渡り対岸へ、山沿いに東へ向かう。ここからは鷲ヶ頭山がきれいに見える。
集落の中ほどの麓の森の中に境外末社厳島神社が鎮座する。
市杵島姫命を祀る。
授与所ではお札やお守りが頒布されているだけで、関連書籍やみやげものは宝物館や海事博物館で販売されていた。「大三島詣で」という小冊子(500円)は大山祇神社の見どころや摂末社を網羅していて大変参考になる。元寇の役の縁起絵馬(800円)は元寇で三島水軍を率いた河野道有を描いている。
宝物館売店で境外末社について尋ねる。御子宮神社、轟神社は少し離れているということで、天神社のほかは厳島神社を参拝した。同じ大字の宮浦にあって小字が別の4つの集落に鎮座する境外末社は氏子集落の鎮守として鎮座されたのだろうか。
大山祇神社
愛媛県今治市大三島町宮浦3327