越前市に鎮座する兄子神社。御祭神は穴穗尊。延喜式丹生郡の論社。
谷間を開いて集落が続いている。集落の西(海側)に川が流れている。
後で話を聞いたところ、常住は2軒になってしまったといい過疎が進むばかりという。生計は林業と集落の奥(北)に段々の田が開かれていて、比較的裕福な暮らしを送れたそうだ。「今は木が二束三文でね。若い者はみんな出て行った。」と
集落から東の山に向かって階段が延び、途中に鳥居が見える。
道も狭かったので留守だと思って広い空き地に車を停めさせてもらったが、戻ってきたらおばあさんが待っていたので、お礼を言ってしばらく話をしていた。
長い階段。途中の両側にも以前は家があったそうだ。
階段途中に鳥居。よく見ると朱色が残っている。
階段を上っていると、オーッと
段に蛇が休んでいた。大人しいのだったので避けて通る。もう動物に遭遇する季節になった。
上っていくと、参道は北に折れ、社殿正面に出る。境内は周囲を杉に囲まれている。笹は今でも多く自生しているが、昔はもっと多かったそうだ。
拝殿は西向き。戸が閉まっているので拝殿前で参る。
ここで一度帰ったのだが、下りるとおばあさんに会った。
話をしていると、拝殿の戸は開くので中で参ってくるといいと言われた。昨年も同市のどこかの保育園児がバスでやってきて、ゾロゾロと階段を上っていったという。
もう一度上がると、確かに戸は開いた。年寄りばかり長い間上がっていないという拝殿は少し埃っぽかったが、両脇に随神を奉斎し、中央に本殿が見える。
あらためて本殿に参る。本殿は彫刻が複数付いている。
拝殿には絵馬も複数掛けられており、武者絵が多い。本殿といい、絵馬といい、往時の集落の繁栄ぶりを見る思いがし、過疎により荒廃を待つばかりなのは残念である。
兄子神社
福井県越前市安戸町41-3