去る5月25日付けの北國新聞朝刊に「高尾城跡 遺構損壊か」という衝撃的な記事が掲載されました。
記事を要約すると
「埋蔵文化財包蔵地に指定されている高尾城跡で、金沢市森林再生課が文化財保護課に必要な申請をせずに、市造成林の間伐に使う作業道の設置工事を行い遺構を損壊した。作業道の総延長は856メートルで、今月10日に文化財保護課の担当者が届け出のない掘削跡を見つけた。工事は2020年12月~21年3月に斜面の一部を削って設けられた。」
というものである。
翌26日に作業道を作ったというコジョウに行ってきた。
コジョウの中腹部を深く削って作業道が作られていて、特に斜面にあった堀切は完全に損壊していた。削った土は附近に見られなかったので別の場所に搬出されてしまったようです。
加賀一向一揆を中心とした加賀国統治が始まる長享一揆で加賀国守護冨樫政親が籠城したと推定されるジョウヤマは高速道路北陸道の建設による土取りで大きく消失しました。まだ遺跡保存の意識が低かった高度成長期の話であり今残っていないことは残念ではありますが、後背部の一向一揆の築城に見られる城郭施設のあるコジョウは破壊を免れて良い状態で残っていました。このコジョウの遺構が今回破壊されてしまったことで、「百姓の持ちたる国」として教科書にも載る加賀一向一揆の重要な歴史遺産である高尾城は復元しようのない状態となってしまいました。とても残念なことです。
城郭カードでもこのコジョウを見どころとして紹介していただけに、現状と乖離してしまうことから説明を変更して、明日6月17日から修正した城郭カードと城郭案内チラシを配布することにしました。
石川県内では他にも開発工事により破壊・消失した城跡があるので後日特集ページを作成したいと思います。